中村明日美子『卒業生-冬-』ネタバレ感想｜草壁と佐条が過ごす卒業までのカウントダウン

『同級生』の続編『卒業生ー冬ー』のネタバレを含む感想レビューです。

冬ってこんなにキラキラした季節だったっけ…。
卒業の春までもう少しになってしまいましたね。

本記事は『卒業生―冬―』のネタバレを含みます。
未読の方はご注意くださいませ！

『卒業生ー冬ー』こんなワードが刺さる人におすすめ！

#同級生
#高校生
#黒髪受け
#メガネ受け

『卒業生ー冬ー』書誌情報

著者	中村明日美子
レーベル	EDGE COMIX
出版社	茜新社
発売日	2010年1月28日

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『卒業生ー冬ー』カップリング

草壁 光（くさかべひかる）
東府第一高校3年生。音楽の道に進みたい。

×

佐条利人（さじょうりひと）
東府第一高校3年生。京大合格のため受験勉強中。

『卒業生ー冬ー』超個人的レビュー！

ストーリー
絵
エロス
初えっち前だからこそのエロさ
応援したい当て馬キャラ

『同級生』シリーズが名作な理由の一つは、初えっちまでが長いことが挙げられると思うんですよね～！
ようやく結ばれた感がごちそうをさらにおいしくしてくれたというか。

ハラセンは教師という立場ギリギリまで攻めてきてくれて、本当に良いキャラですね。

『卒業生ー冬ー』ネタバレ感想

『同級生』に引き続き、カバー折り返しに佐条くんのエロうなじが！　制服の変化で季節の移ろいが感じられます。

【冬のはじまり】

受験勉強の最中、恋愛モード一色になっている場合ではないと分かりつつも、予備校後に草壁とカフェで待ち合わせの佐条くん。
この「どうも」が良いんだよなぁ…。照れが混じってて…

「今はだいじな時間なので」とファンの女子の電話をスルーしてくれて嬉しかったのに、謎の「山崎」からの着信には即出る草壁にちょっとお怒りです。

そんな佐条くん、学校ではハラセンから歌の再・再テストを課されています。

レストランで、大人の階段を上がったかどうかと色っぽい話をしていると、ガラスを一枚隔てた外側には女性と話す草壁が！
ショックでレストランから飛び出した佐条くんをハラセンはホテルに保護します。

ホテルに。

ギリギリのところで頭におかず（パスタ？）のっけた草壁参上！
ハラセンは草壁のいやげもののライターを戦利品に去っていきます。理性の勝利。

ホテルの部屋に残された2人。
草壁は本気で音楽をやりたいと思っていることを佐条に伝えます。

もうこれは場所が場所だけに初体験への流れか…！？　と思わせて、予備校にはきちんと行く佐条くんが偉い。

番外編【げに大人というものは】

歌の再・再テストも不合格、再・再・再テストが決定した佐条くん。
歌声を「やわらかいかんじ」と言われたハラセンは、自分の高校時代を思い出します。

若ハラセンは放課後に音楽室でピアノを弾いて歌っていた時、新任の名前もよく覚えていない先生から「やわらかい声」と言われた経験がありました。
その有坂先生は接点もなかったのに「原君」と呼んできて、若ハラセンは彼の自分に向ける気持ちにピンときます。

ピアノを教えてもらううちに予感は確信に変わり、盛り上がってキス！
我に返った有坂先生は逃げるように音楽室を後にします。

しかしその後若ハラセンは有坂先生が産休を取る（＝既婚である）ことを生徒らの噂で知ることになります。

なにもかもなかったことにした有坂先生と若ハラセン。
タバコを吸いながら、頬を涙が伝います。

時は戻り、草壁と一緒に帰る佐条を見送るハラセン。切ないですなぁ…。

【手ぶくろをかいに】

夜10時、いつものカフェで待ち合わせのお2人。
「勉強は得意だけど、所詮はただのツールに過ぎない。やりたいことが見えてる草壁のほうが立派」という佐条くん。

街中の物陰でキス＆お手手さすさす。
草壁は、佐条くんの唇と手が乾燥しているのに気づき、唐突に手袋をプレゼントしたくなります。

そこへ最強の当て馬（？）ハラセンが、自分の誕生日にかこつけて佐条くんに手袋をプレゼントしてしまいます！
そりゃ草壁は「どしたのソレは」となりますわな！

学校でバチバチにメンチ切り合ってしまう草壁とハラセン。
そろって保健室送りになりました。

ハラセンは「俺は一生お前に勝てない　そういうふうにできてんだ」と敗北宣言です。

様子を見に来た佐条に「オマエって草壁のもんなの？」と訊くハラセン。

佐条くんは赤面で「…そうです　半分」と答えます！　半分ってとこが奥ゆかしいではないか！！

2人で帰りに手袋を買いに行くことになりました。

【Fitting】

手袋を買いにお店へ。
佐条くんの私服はママブランドということが判明！（まだ作中で私服は出てきていません）

せっかくだからお店の服を試着してみることに。

しかしここでも佐条くんの私服姿は見られず！　残念草壁！

Short Piece1【気になるあの子】

草壁の友達、いつも白目の谷くんのお話。
放課後に草壁のクラスを覗いている佐条に声をかける谷くん。

・草壁は天パ
・ずっと水泳をやっていたから髪色も天然

などのホラを吹いて去っていきますが――

「なんかさじょーくんて　からかいたくなるタイプだよなー」

Short Piece2【気になる先生】

年配の橋本先生から飲みに誘われるハラセン。

橋本先生はハラセンに、生徒との淡い恋の昔話を聞かせます。

しかし橋本先生、ハラセンが気になっているのは草壁だと思っています…。まさかの勘違い！

Short Piece3【雨に宿る】

雨宿りの帰り道。

草壁は羅生門を冒頭を思い出し、「くさめ」＝う〇こだと思っていた話をします。

くだらないお喋りで過ぎていく放課後…尊い…。
キスしたそうな草壁に自分からしてあげる佐条くん！

【泣きそうなとき】

受験勉強で忙しい中、佐条くんのお母さんに腫瘍が見つかります。

いつものカフェではなく佐条くんの家の近くで会う2人。
自分が「大丈夫？」と聞いたから「大丈夫」と言わせてしまったと反省する草壁です。

佐条くんのお母さんの腫瘍はガンでした。

草壁は佐条の支えになりたいと、佐条の家に泊まろうかと打診しますが「他人（ひと）の面倒までみる余裕ないんだ！」とすでにいっぱいいっぱいな佐条くんです。

家事やお見舞いなど忙しい日々になった佐条くん。

ですが次第に余裕がなくなってきて、お母さんにきつく当たってしまいました。

そして、据わった目で草壁を家に誘う佐条くん――。
いいところで『卒業生ー春ー』に続きます！

『卒業生ー冬ー』草壁と佐条が過ごす卒業までのカウントダウン

『同級生』より一つの季節を濃密に描いた『卒業生』。

2人の未来を知ってるのに、今読んでもハラハラします…！
「こんなこともあったな～」と読み返せる作品って名作ですよね。

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